20世紀ポップ・ロック大全集 Vol.9 音楽の新世紀 −拡大と再生、そして実験者たち−

これで最後、Vol.9です。

Chapter1 ヒップホップの台頭〜音楽は再びストリートへ

80年代、パンクの勢いが衰え、替わりに台頭したヒップホップ。
クラフトワークテクノサウンドを取り入れたアフリカ・バンバータがアルバム「プラネット・ロック」という曲を作り出します。
レコードの音を自由にミックスし、その上に自由な語りを乗せる
ラップという基本的なスタイルは、この「プラネット・ロック」によって確立されました。
ラップの勢いが増してくるとブロンディを始め、そのスタイルを取り入れる白人も増えていきました。

Chapter2 MTV開始以降〜ミクスチャー化の進行とメッセージの発信

音楽のプロモーションビデオを専門的に流すMTVの誕生は、
ポップミュージックの歴史に多大な影響を与えました。


ラッセル・シモンズとリック・ルービンが手を組んで設立した
ラップ専門のレーベルDef Jam recordings。
このレーベルからランDMCのアルバムを出す時に
エアロスミスの「ウォーク・ディス・ウェイ」をカバー。
これをきっかけに多くのロックファンがラップに注目を寄せることになります。


しかし、ランDMCは黒人だった為にMTVなどからは無視されます。
白人のラップグループビースティ・ボーイズのファーストアルバム「ライセンス・トゥ・イル」の大ヒットで、
ラップはようやくアンダーグラウンドな存在から表舞台に飛び出します。

Chapter3 ‘80年代以降の実験者達〜テクノロジーの進化とブラックミュージック

ミシガン州デトロイトで大きな発展を遂げたテクノポップ
先進的過ぎてアメリカの音楽業界でほとんど無視されてきたテクノサウンド
FMなどで流されることはなく、クラブ流されることで発展していきました。
その流れでメロディーをより重視したハウスミュージックが生まれました。


ネットワークが世界を結び、ヒット曲が地球の隅々にまで運ばれる今日、
ポップミュージックはある種の世界共通語になったといってもいいでしょう。
しかし、その言葉は大いなる多様性を秘め、今も進歩と衰退を繰り広げています。
新しい音楽が古い音楽を駆逐し、古い音楽が改良されて再び息を吹き返し、
その絶え間ない動きの中にこそポップミュージックの本質があるのです。

と締めてこのシリーズは終わりです。

全編を通しての感想

イギリスの放送協会(BBC)が作った為か、どうしてもイギリスびいきな内容で、
微妙なアメリカ批判(人種差別問題をやたら取り上げる、アメリカ音楽業界の保守的なイメージの連呼)
が混じってたりもしますが、音楽の歴史の流れをサラっと理解するには
十分な内容だったと思います。
個人的にはVOL.1Vol.4が特に面白かったですね。